触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「は?」
突然の引き留めに、困惑する。
声のトーンも瞳の色も、明らかにいつもと違っていた。
「彼女のところ……行くんでしょ?」
「そうだけど」
「行って、何するの?」
その問いかけで、合点がいった。
「悠也から……何か聞いた?」
数日前、『誕生日は何をするのか』と悠也に聞かれ、前日ではあるが東京で夏帆と会うことを話した。
世間話として、それが葉月に伝わり、何かを勘づかれたのかもしれない。
葉月には、こういうところがある。
普段はふわふわと浮ついていて適当なくせに、時折妙に鋭い。
「…………ダメ」
そして、切羽詰まったように呟かれた。