触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

 予定通り、凪沙は彼氏とのデートへと出かけていき、家は私だけになった。

 手汗が、止まらない。
 一人なのに、姿勢を正して待っていた。

 やがて、インターホンが鳴り響く。
 息を呑み、応答ボタンを押した。

「……はいっ」

『あ……俺』

「……うんっ」

 オートロックを解除し、玄関まで小走りで向かう。
 ほどなくして、目の前のドアを軽くノックする音が聞こえた。

 開けた先にいたのは――航だった。

 分厚いマフラーで、小さな顔を半分埋めている。

「……おはよう」

「……うん」

 彼を中へ引き入れ、素早く扉を閉めた。
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