触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

 軽くお茶を飲みながら、ぎこちなく話し出す。

「ここまで……迷わなかった?」

「うん。住所あったから」

 そしてすぐに、沈黙が落ちた。
 それに耐えきれず、小さく問いかける。

「私の部屋……行く?」

 無言のまま立ち上がった航を、自室へと案内した。


 足を踏み入れた航は、息を吸った。

「ほんとだ。夏帆の匂いする」

「……え!?」

 慌てて振り返ると、航は意地悪く笑っていた。
 彼はそのまま、部屋の中をぐるりと見渡すが、何も言わない。

「変……かな?」

 ちらりと様子をうかがいながら尋ねると、「いや」と首を振った。
 そして、窓際に視線を向ける。

「カーテン、青なんだ」

「うん。前のやつ古くなって、高校生になるときに変えたんだ」

「綺麗な青だな」

「……航の街の海の色に、そっくりだったから」

 そう呟くと、彼は目尻を下げた。

 私から一歩近づき、その手をそっと取る。
 ベッドのほうへ促し、縁に並んで腰掛けた。
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