触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
 ◇

「じゃあ、次はバレンタインに」

「うん」

 誰かに目撃されることを警戒し、行きは航に一人で来てもらったのに。
 帰りは、ギリギリまで一緒にいたい気持ちが勝ってしまい、東京駅のホームまで見送りに来てしまった。

 乗り場につき、静かに向かい合う。
 私は、鞄の中に手を伸ばした。

「はい、これ。明日……誕生日おめでとう」

 別れ際に渡そうと決めていたプレゼントだ。
 航は、嬉しそうに受け取る。

「……ありがとう。開けていい?」

「うん」

 包み紙を破かないよう、大切に開けてくれる。
 包んでいたのは、深いネイビーの手袋だ。

「……いい色」
< 220 / 242 >

この作品をシェア

pagetop