触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
海にまつわる名前
宿の横に建つ自宅へと帰り着いた。
夫婦の部屋の扉を閉めるとすぐに、その身体を引き寄せた。
そして、今までもこれからも夏帆にしか聞かせない響きで、囁く。
「誕生日……おめでとう」
当日は今週の真ん中で、彼女は東京にいたから。
電話ですでに伝えているけれど、改めて。
「……ありがとうっ。航にお祝いしてもらうの、十九回目! すごくない?」
無邪気に喜ぶ夏帆に、キスをした。
募っていた想いを、注ぎ込むように。
「ふふ……航、やっとデレてくれた」
その合間、夏帆が嬉しそうに呟く。
細い腰に手を添えたまま、ベッドのほうへと寄せていく。
唇を重ねたまま、ゆっくりと押し倒した。