触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。

海にまつわる名前


 宿の横に建つ自宅へと帰り着いた。

 夫婦の部屋の扉を閉めるとすぐに、その身体を引き寄せた。
 そして、今までもこれからも夏帆にしか聞かせない響きで、囁く。


「誕生日……おめでとう」


 当日は今週の真ん中で、彼女は東京にいたから。
 電話ですでに伝えているけれど、改めて。

「……ありがとうっ。航にお祝いしてもらうの、十九回目! すごくない?」

 無邪気に喜ぶ夏帆に、キスをした。
 募っていた想いを、注ぎ込むように。

「ふふ……航、やっとデレてくれた」

 その合間、夏帆が嬉しそうに呟く。

 細い腰に手を添えたまま、ベッドのほうへと寄せていく。
 唇を重ねたまま、ゆっくりと押し倒した。
< 232 / 242 >

この作品をシェア

pagetop