触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
◇
穏やかな波音が、今日も響いている。
真夏の十七時は、まだ十分に明るい。
けれど、昼間の刺すような暑さは和らぎ、少しずつ夕暮れの気配を帯び始めていた。
ふと見上げた南の空には、上弦の月が浮かんでいる。
昼の名残の青に溶けてしまいそうなほど薄く、それでいて、輪郭だけは白くはっきりとしていた。
「あー、落ち着くなあ」
夏帆は海に向かって瞳を閉じ、風に揺れる髪を耳にかけた。
最近、肩の高さに切り揃えたばかりだ。
海を近くに感じたいときは、一人でふらっと散歩に出ることが多い夏帆。
こうして改まって誘われるのは――あの日以来だった。
穏やかな波音が、今日も響いている。
真夏の十七時は、まだ十分に明るい。
けれど、昼間の刺すような暑さは和らぎ、少しずつ夕暮れの気配を帯び始めていた。
ふと見上げた南の空には、上弦の月が浮かんでいる。
昼の名残の青に溶けてしまいそうなほど薄く、それでいて、輪郭だけは白くはっきりとしていた。
「あー、落ち着くなあ」
夏帆は海に向かって瞳を閉じ、風に揺れる髪を耳にかけた。
最近、肩の高さに切り揃えたばかりだ。
海を近くに感じたいときは、一人でふらっと散歩に出ることが多い夏帆。
こうして改まって誘われるのは――あの日以来だった。