触れられなくても、君がいい。 ――青くて甘い二人の遠距離ロマンス。
「うん」
「私の姉妹弟も、航の兄弟も、みんな海に関する名前だよね」
急に切り出された話題だったが、特に気にも留めず、水平線に目を向けながら「あー」と考えた。
「夏帆、凪沙、湊人。俺が航で、弟が洋。洋の子どもも、七海だしな」
改めて並べると、俺たちの家族はどれだけ海が好きなんだよと思う。
「他に……何があるかなあ」
「ん?」
ぽつりとそう呟いた夏帆は、俯いていた。
そして、ゆっくりと俺を見上げる。
その顔は、少しだけ上目遣いで。
空が茜色に染まるにはまだ早いというのに――ほのかに紅く染められていた。
波音が、響く。
「…………え?」
頬をかすめた潮風で我に返った俺は、その言葉の意図に、ようやく気がついた。