触れられなくても、君がいい。

 真正面で向き合うのが照れくさくて、思わず目を伏せてしまう。

「ていうか……背、伸びすぎじゃない?」

 誤魔化すように、上目遣いで軽く睨む。
 去年とは見上げる視線の角度が、まるで違っていた。

「一年で十センチ伸びた」

「えっ? 私、一センチも伸びてないよ!?」

 そんな他愛のない会話を交わしている間も、航はずっと目を細めていた。
 振られたはずなのに、不思議と気まずい空気は漂わない。

 航って――こんなに無防備に笑う人だったっけ。

 男らしくなった声や背丈と、子どもみたいに無邪気な顔。
 そして、ビーチから届く波の音。

 胸の奥が、くすぐったくて仕方がなかった。
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