触れられなくても、君がいい。
 ◇

 カウンターでチェックインの手続きをする父の隣で待っていると、航がそっと近づいてきた。

「例のあれ、十六時からだけど……行ける?」

「あっ、うん。荷物置いたら、ロビーに戻ってくるね」

 直近に届いた手紙で『地元のメンバーで肝試しするんだけど、夏帆も来られる?』と誘われていたのだ。

 手紙でも何度か名前が出ている、航の幼馴染である『悠也(ゆうや)くん』。
 文通のことを知って、なぜか私に会いたがっているらしい。

 同い年とはいえ、私だけが東京から来た知らない子だ。
 当然、躊躇したけれど――限られた時間、少しでも長く航と一緒にいたいという気持ちが勝ってしまった。
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