触れられなくても、君がいい。
◇
「ねえ……暗くない!? 無理なんだけど!」
石段を上りながら、彼女――葉月ちゃんは、今日初めて言葉を交わしたばかりの私の腕を、しっかりと掴んで離さない。
なぜか航と組むことをあっさり諦めた彼女は、私をペアに誘ってきたのだ。
たしかに彼女の言う通り、まだ十六時半にもなっていないというのに、鬱蒼とした木々に覆われた山の中はだいぶ薄暗く、そして異様に涼しい。
この肝試しで課されている試練。
それは、長くて急な石段を上りきり、拝殿前のお賽銭箱にお金を入れ、三十秒間目を閉じてお参りしてくることだそうだ。
「ねえ、なんでそんな落ち着いてるの?」
「……お化けとか、別に平気で」
本気で怯えている葉月ちゃんに正直に答えると、「ええ?」と怪訝な顔をされた。
三分の二まで上ると、下にいるみんなの気配や話し声はまったく届かなくなった。
ふと吹いた風が、肌を撫でる。
隣の彼女は「なんか寒気しない?」と肩をすくめていた。
「ねえ……暗くない!? 無理なんだけど!」
石段を上りながら、彼女――葉月ちゃんは、今日初めて言葉を交わしたばかりの私の腕を、しっかりと掴んで離さない。
なぜか航と組むことをあっさり諦めた彼女は、私をペアに誘ってきたのだ。
たしかに彼女の言う通り、まだ十六時半にもなっていないというのに、鬱蒼とした木々に覆われた山の中はだいぶ薄暗く、そして異様に涼しい。
この肝試しで課されている試練。
それは、長くて急な石段を上りきり、拝殿前のお賽銭箱にお金を入れ、三十秒間目を閉じてお参りしてくることだそうだ。
「ねえ、なんでそんな落ち着いてるの?」
「……お化けとか、別に平気で」
本気で怯えている葉月ちゃんに正直に答えると、「ええ?」と怪訝な顔をされた。
三分の二まで上ると、下にいるみんなの気配や話し声はまったく届かなくなった。
ふと吹いた風が、肌を撫でる。
隣の彼女は「なんか寒気しない?」と肩をすくめていた。