触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 海沿いの道路に出て、一人で歩き始める。
 アスファルトに伸びる自分の影を見つめていると、後ろから「お〜い」と、のんびりした声が届いた。

 振り向くと、自転車に跨った悠也くんがいた。

「航と帰んないの?」

「……うん。急いでるし、航、忙しそうだから」

 視線を落として答えると、悠也くんは「あ、さっきの」と少し目を見開いた。

「航にくっついてた奴。あれ、俺と同じただの幼馴染だよ。ちょっと、くっつきすぎだけど」

 悠也くんは、私の顔を覗き込みながら「日常の光景すぎて、スルーしちゃってたわ。ごめんごめん」苦笑いしていた。

 そして、自転車の後ろの荷台を親指でクイッと指す。

「乗る?」

「えっ? いやいや……!」

 慌てて首を振る。
 この街の子たちは、男女関係なくこんな感じで距離が近いのかもしれない。

 だけど――。

 ――いや。私は片思いでいいって、割り切っていたのだ。
 いちいち傷ついたり、波立ったりするのはやめよう。

 ただただ、悲しくて疲れてしまうだけ。

 心の中に、分厚い防波堤を築き直す。
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