触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

星降る夜に、触れた熱


 とれたての海の幸はどれも絶品で、海遊びで空いていたお腹はすっかり満ち足りていた。

 お酒が進み上機嫌な両親の横で、私は食休みをしていた。
 凪沙と湊人は、退屈し始めたのか夜風を浴びながらテラスを歩き回っている。

「かほちゃん、みて! おほしさま!」

 湊人から無邪気に呼ばれ、隣に並んで空を見上げた。

「うわあっ……本当だね!」

 東京では見られない、澄み切った夜空。
 湊人の小さな指が差す先には、薄っすらとではあるけれど、数えきれないほどの星たちが見えた。


「夏帆」


 姉弟三人で見惚れていたら、斜め後ろから声をかけられた。
 振り向くと、さっきまで片付けを手伝っていた航が立っていた。

 そして、私にしか聞こえないように囁く。


「買い出し……付き合ってくれない?」


 テラスの淡い照明に照らされた彼の瞳が、私を捉えている。

「……買い出し?」

「夏帆のお父さんとお母さんから、OKもらってきたから」

 両親の座るテーブルを振り返る。
 母がグラスを片手に、意味深な微笑みを浮かべていた。

「いいけど……」

 こっそりと頷いた。
 凪沙や湊人に気づかれたら「一緒に行く!」と大騒ぎされるかもしれないからだ。

 二人で息を潜め、賑やかなテラスをそっと抜け出した。
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