触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 昨日、目の当たりにしたもの。
 私とは違って、いつでも彼に躊躇いなく触れられる女の子と、それを受け入れる彼。
 私と航よりもずっと、歴史も深さもある二人。

 私の心には、鍵がかかってしまった。
 ただ、傷つきたくない。誤魔化して、逃げたい。

 だから、俯いた。

 それなのに、航は、短くこう返してきた。


「やだ」


 湊人が駄々をこねるときのような響き。
 それを聞いた私は、ぽかんと口を開ける。

「なに? 『やだ』って……」

「…………」

 航は表情を変えないまま、あっという間に食べ終えたカップラーメンの容器をゴミ箱へ捨てていた。
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