触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 そこで、私の中でふと、ある捻くれた考えが浮かぶ。

「あ……わかった。『自分を好きだった子が心変わりして、ちょっと惜しい』みたいな?」

「え?」

 思い出したのは、『俺と付き合えば?』などと言ってきた、クラスの小宮山のこと。
 たしかに私は『付き合わない』と答えたものの、そのあと一か月もしないうちに、彼は同じ塾の子と付き合い始めた。
 傷ついたとかではないのだけれど、『あれ? 私のこと好きだったんじゃないの?』と、なんだかひどく拍子抜けしたのだ。

「そういうこと、あるよね」

 苦笑いして、共感してみせた。

「……夏帆に、そういうことがあったってこと?」

 静かなトーンで、確認される。

「え? あ、いやー……まあ、誰でも一度や二度くらいあるでしょ」

 小宮山からは「好きだ」と明言されたわけではないし、そういうことがあったのは一度きりだから、若干嘘だ。
 けれど、強がりもあってそのまま押し通した。
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