触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

「…………」

 航は、暗闇の中で私をじっと見つめている。
 嘘が見透かされそうで、慌てて目を逸らした。

「……それに。私、チャラい人は嫌だもん」

 ことさらに明るい声を装って言う。

「チャラいって、なに」

「昨日、女の子とベタベタしてた」

 航は少し考えたあと、「葉月のことか」と呟いた。

 その口から直接、名前を呼ぶ声を聞いただけで、胸が痛む。
 息ができないくらい、苦しくなる。

「葉月は、ただの幼馴染」

「えーそうかなあ。私の周りでは、男女があんなふうにくっつくことなんて、ないけど」

「何度言ってもやめないから、半ば諦めてるというか……」

 その説得力のない釈明に、つい、聞きたくもない件まで投げつけてしまう。


「でも、キスもしたんでしょ?」


 隣で、航が息を呑む気配がした。
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