触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。

 きっと来年の夏は、受験でここには来られない。
 最後にこんなみっともない姿を見せて、『そういえば夏帆っていうガキっぽい女子いたな』という記憶になってしまうのが残念で、恥ずかしくて仕方ない。

 でも、もういいのだ。

 片思いでもいいなんて、嘘だった。
 本当は誰よりも特別になりたいのに、なれないと知って――こんなにも惨めで、痛い。

 涙が滲まないように、ぐっと力を込めて早足で歩いていた。

 次の瞬間。

 後ろから何かに包み込まれ、ワンピースの裾と髪が、潮風にふわりと揺れた。


「やだ」


 そして、さっきよりも切実な声で、そう言われる。

 砂浜に打ちつけられる波音が、響いた。
 私は、駆け寄ってきた航に、後ろから抱きしめられていた。
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