触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
頭に、少しだけ上がった息遣いがかかる。
躊躇いがちに回された腕には、徐々に男の子らしい熱と力強さが滲んでいった。
「……え? え、何?」
「夏帆も……試してよ」
「え?」
言われた意味がわからず、首だけを動かして航を見上げる。
信じられないほどの至近距離に、心臓が激しく騒ぎ出す。
彼は、自分の頬を突き出していた。
その仕草で――ようやく理解する。
「え!? いや……何言ってるの!?」
その言動についていけない私は、猛烈に狼狽えるばかり。
彼が『試して』と言っているのは、おそらく――さっき話していた『頬へのキス』のこと。
「試せばわかるじゃん」
「保育園生と中学生じゃ訳が違うし……『試す』とか意味がわからない!」
「いいから」
「……っ」
航は頬を向けたまま一歩も引かない。
ただただ混乱して固まっていると、航が薄く唇を開いた。
「じゃあ……俺がする」
「は!?」
目を丸くして瞬きを繰り返す私を、静かに覗き込んでくる。
「いい?」
「……!?」
いいわけないのに。
拒む言葉が、出てこない。