触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
◇
そのまま、冬が過ぎ――。
薄紅色の蕾が膨らみ始める季節を迎えた。
「委員長」
よく晴れた、肌寒い春先の週末。
模試会場の門をくぐり抜けたところで、背後から声をかけられた。
振り返ると、同じ塾に通う小宮山がいた。
「あ、お疲れ」
私が一つ上のクラスに上がり、彼と同じ授業を受けるようになってからというもの、こうして言葉を交わす機会が増えた。
「志望校、もう絞った?」
隣に並びながら、尋ねられる。
「うん。〇〇高校」
「うわ、同じだ」
「なに、『うわ』って」
眉をひそめてみせるものの、彼は余裕の表情だ。
「判定は?」
「……C」
「俺、B」
「…………」
恨めしげな視線を送ると、「まあ、部活引退した後に本気出せばいけるんじゃない」と意地悪く笑い飛ばされた。
ふと、冷たいながらもほんのりと春の匂いを含んだ風を浴びる。
去年の四月、この小宮山から唐突に『俺と付き合えば?』などと言われたことが蘇った。
その後も、特に気まずくなることもなく会話できている。
やはりあれは、ただのからかいだったのだろう。
ちなみに、あの直後に付き合い始めた塾の子とは、あっという間に別れたらしい。
そのまま、冬が過ぎ――。
薄紅色の蕾が膨らみ始める季節を迎えた。
「委員長」
よく晴れた、肌寒い春先の週末。
模試会場の門をくぐり抜けたところで、背後から声をかけられた。
振り返ると、同じ塾に通う小宮山がいた。
「あ、お疲れ」
私が一つ上のクラスに上がり、彼と同じ授業を受けるようになってからというもの、こうして言葉を交わす機会が増えた。
「志望校、もう絞った?」
隣に並びながら、尋ねられる。
「うん。〇〇高校」
「うわ、同じだ」
「なに、『うわ』って」
眉をひそめてみせるものの、彼は余裕の表情だ。
「判定は?」
「……C」
「俺、B」
「…………」
恨めしげな視線を送ると、「まあ、部活引退した後に本気出せばいけるんじゃない」と意地悪く笑い飛ばされた。
ふと、冷たいながらもほんのりと春の匂いを含んだ風を浴びる。
去年の四月、この小宮山から唐突に『俺と付き合えば?』などと言われたことが蘇った。
その後も、特に気まずくなることもなく会話できている。
やはりあれは、ただのからかいだったのだろう。
ちなみに、あの直後に付き合い始めた塾の子とは、あっという間に別れたらしい。