触れられなくても、君がいい。 ――青い二人の、遠距離ロマンス。
 ◇

 帰宅すると、両親と湊人は買い物に出かけていて、リビングのソファで凪沙が一人、寝転がりながらアイスを齧っていた。

「あーあ、塾疲れたあ。もう行きたくなーい」

 小学四年生にして、中学受験を見据えて進学塾へ通わされている彼女は、天井に向かって気怠げに愚痴をこぼす。

「なんでうちの親って、勉強のこととなるとあんなに厳しいんだろ。夏帆ちゃんもそう思わないー?」

 冷蔵庫から麦茶のピッチャーを取り出しつつ、「うーん……まあね」と曖昧に頷いた。

 かつて就職で苦労したらしい両親。
 子どもたちには同じ轍を踏ませまいと、『学歴』という強みを身につけさせたい、らしい。
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