恋を知らないきみへ
3 ひねくれ者
月曜日に木ノ下くんと口論してから、気づけば一週間が経っていた。
あれ以来、私たちは毎日顔を合わせていたわけではない。
私は私で営業の仕事があるし、木ノ下くんだってマーケティング部の通常業務がある。
それでも、若年層ファミリー向け新ブランドの下地作りは止まってくれないから、空いた時間を縫うようにして少しずつ進めていた。
私は展示場に来た若い夫婦へ声をかけたり、以前家を建てたお客様に連絡を取ったりしながら、家を買ったきっかけや、住まいに求めるものを集めていた。
“子どもがのびのび暮らせる家”
“共働きでも家事がしやすい動線”
“休日に家族でゆっくり過ごせる広さ”
“友達を呼べるリビング”
“犬を飼える家”
お客様によって、家に求めるものは全然違う。
同じ“子育て世帯”でも、今の暮らしに何を窮屈だと感じているかも、これからどんな生活を送りたいかも、本当にばらばらだ。
その一つ一つを、私はなるべくこぼさないようにメモへ残して、空き時間に木ノ下くんへ共有していた。
一方の木ノ下くんは、アンケートの回答を集計しながら、競合他社の若年層向け住宅ブランドの調査や、SNS上での住宅アカウントの分析まで進めていたらしい。
共有した私のメモは、彼の手にかかると、すぐに見やすい言葉へ整理される。
悔しいことに、それはいつだって的確だった。
ただし、腹が立つくらいに冷たい。まるでロボット。まるでAI。
あれ以来、私たちは毎日顔を合わせていたわけではない。
私は私で営業の仕事があるし、木ノ下くんだってマーケティング部の通常業務がある。
それでも、若年層ファミリー向け新ブランドの下地作りは止まってくれないから、空いた時間を縫うようにして少しずつ進めていた。
私は展示場に来た若い夫婦へ声をかけたり、以前家を建てたお客様に連絡を取ったりしながら、家を買ったきっかけや、住まいに求めるものを集めていた。
“子どもがのびのび暮らせる家”
“共働きでも家事がしやすい動線”
“休日に家族でゆっくり過ごせる広さ”
“友達を呼べるリビング”
“犬を飼える家”
お客様によって、家に求めるものは全然違う。
同じ“子育て世帯”でも、今の暮らしに何を窮屈だと感じているかも、これからどんな生活を送りたいかも、本当にばらばらだ。
その一つ一つを、私はなるべくこぼさないようにメモへ残して、空き時間に木ノ下くんへ共有していた。
一方の木ノ下くんは、アンケートの回答を集計しながら、競合他社の若年層向け住宅ブランドの調査や、SNS上での住宅アカウントの分析まで進めていたらしい。
共有した私のメモは、彼の手にかかると、すぐに見やすい言葉へ整理される。
悔しいことに、それはいつだって的確だった。
ただし、腹が立つくらいに冷たい。まるでロボット。まるでAI。