恋を知らないきみへ
紬ちゃんは最後まで私の手を離さず、名残惜しそうに見上げてきた。
「ほのかちゃん……、また来てね」
「もちろん!また会おうね」
「うん!たすくくんも、ばいばーい!」
急に声をかけられた木ノ下くんが、一瞬だけ固まる。
「……ば、ばいばい」
彼は笑っちゃうほどぎこちなく、それでも一応手を軽く上げてくれたのを見て、紬ちゃんが満足そうに笑った。
高瀬家を出て、駐車場まで来たところで運転席へ行こうとしたら、木ノ下くんが手を出してきた。
「……車のキー、ちょうだい」
「え、なんで?」
バッグを肩にかけ直して眉を寄せて聞き返すと、あちらも私と似たような顔をした。
「帰りは俺が運転する。助手席の座り心地が悪かった」
「ひ、ひどっ!これでも安全運転の小関で有名なんだよ?」
「はいはい」
まあでも、営業スマイル全開で挑んだから疲れてはいるので、面白くないけどここは彼の申し出を受け入れよう。
仕方なく鍵を彼に手に預けた。
夕方の風は少しだけ涼しくなっていて、さっきまで賑やかだったリビングの空気がまだ身体に残っているような気がした。
助手席に乗り込んで、私は動き出した車の運転席に座る木ノ下くんをちらりと見やる。
「ほのかちゃん……、また来てね」
「もちろん!また会おうね」
「うん!たすくくんも、ばいばーい!」
急に声をかけられた木ノ下くんが、一瞬だけ固まる。
「……ば、ばいばい」
彼は笑っちゃうほどぎこちなく、それでも一応手を軽く上げてくれたのを見て、紬ちゃんが満足そうに笑った。
高瀬家を出て、駐車場まで来たところで運転席へ行こうとしたら、木ノ下くんが手を出してきた。
「……車のキー、ちょうだい」
「え、なんで?」
バッグを肩にかけ直して眉を寄せて聞き返すと、あちらも私と似たような顔をした。
「帰りは俺が運転する。助手席の座り心地が悪かった」
「ひ、ひどっ!これでも安全運転の小関で有名なんだよ?」
「はいはい」
まあでも、営業スマイル全開で挑んだから疲れてはいるので、面白くないけどここは彼の申し出を受け入れよう。
仕方なく鍵を彼に手に預けた。
夕方の風は少しだけ涼しくなっていて、さっきまで賑やかだったリビングの空気がまだ身体に残っているような気がした。
助手席に乗り込んで、私は動き出した車の運転席に座る木ノ下くんをちらりと見やる。