恋を知らないきみへ
「あのね」と私はいったん息をつく。
「嫌われちゃったら、うまくいくこともうまくいかなくなっちゃったりするでしょ?」
「……そんなことある?」
言われた木ノ下くんは、本当に分かっていない顔だった。
彼の特徴はこういうところだ、と思う。
仕事ではちゃんと細かに説明する。
言っていることも、だいたい正しい。
でも、余計な一言と、言わなくていい切り方で、こちらの神経をちくちく刺してくる。
本人にその自覚がないのだから、余計に厄介だ。
私はもう一度画面を見る。
一ページ目。高瀬さんご夫婦、生活が回る家。
二ページ目。他のお客様の声。
三ページ目。データと市場分析。
悔しいけれど、流れは悪くなかった。
むしろ、さっきよりずっと伝わる。
「……ここ」
私は一ページ目の本文を指差した。
「高瀬さんの言葉、もう少しだけ残していい?」
「どれ?」
「“前よりはちゃんと回せる気がする”っていう由佳さんの言葉。これだけは、残したいの」
私の申し出に、木ノ下くんは少しだけ考えてからうなずいた。
「うん。俺も、そこは残した方がいいと思う」
「だよね!だよね!」
「抽象的だけど、今回の軸には合ってる」
「その言い方が嫌。生活感がある、でよくない?」
「それは小関さんが書けばいい」
そう言って、彼はキーボードを私の手元へ寄せた。
急な振り方に少しだけ驚く。
「私が書くの?」
「そこは営業じゃないと書けない。だからお願いしたい」
「嫌われちゃったら、うまくいくこともうまくいかなくなっちゃったりするでしょ?」
「……そんなことある?」
言われた木ノ下くんは、本当に分かっていない顔だった。
彼の特徴はこういうところだ、と思う。
仕事ではちゃんと細かに説明する。
言っていることも、だいたい正しい。
でも、余計な一言と、言わなくていい切り方で、こちらの神経をちくちく刺してくる。
本人にその自覚がないのだから、余計に厄介だ。
私はもう一度画面を見る。
一ページ目。高瀬さんご夫婦、生活が回る家。
二ページ目。他のお客様の声。
三ページ目。データと市場分析。
悔しいけれど、流れは悪くなかった。
むしろ、さっきよりずっと伝わる。
「……ここ」
私は一ページ目の本文を指差した。
「高瀬さんの言葉、もう少しだけ残していい?」
「どれ?」
「“前よりはちゃんと回せる気がする”っていう由佳さんの言葉。これだけは、残したいの」
私の申し出に、木ノ下くんは少しだけ考えてからうなずいた。
「うん。俺も、そこは残した方がいいと思う」
「だよね!だよね!」
「抽象的だけど、今回の軸には合ってる」
「その言い方が嫌。生活感がある、でよくない?」
「それは小関さんが書けばいい」
そう言って、彼はキーボードを私の手元へ寄せた。
急な振り方に少しだけ驚く。
「私が書くの?」
「そこは営業じゃないと書けない。だからお願いしたい」