恋を知らないきみへ
「……そうだよね。……頑張ろ」

誰に言うでもなく自分に言い聞かせる。


「木ノ下くん、ここだけ見てもらってもいい?」

ひとまず形になった部分を、木ノ下くんに見てもらう。

一緒に画面を覗き込みながら、彼の反応を伺う。

木ノ下くんは眉を寄せて何度か画面に視線を巡らせたあと、マウスを動かして項目を一つだけ動かした。

「これで流れが自然になる」

「……ほんとだ」


今までこなしてきた仕事はそれぞれ違うけれど、同じものを見ているのにこんなにも差が出るなんて。

でも、悔しい以上に納得してしまう自分がいる。


私は修正箇所に貼る付箋を取り出して机へ置いた。

「これ使う?」

「あー、使う」

木ノ下くんは付箋を一枚取り、迷いなく紙に貼る。


「へぇ、そこ青なんだ。私は黄色だと思った」

「なんで?」

「営業的に目が止まるから」

「いや、マーケ的には青」

「その"マーケ的には"って便利な言葉だよねー」

「営業も"お客様は"ってよく言うじゃん」

「……うん、言うね」

思わず認めると、木ノ下くんが少しだけ笑った。

「ほら、お互い様でしょ」

「それ言われると何も返せないなあ」


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