恋を知らないきみへ
結局、青と黄色の二通りを並べて見比べる。

数秒後、私は青い付箋を見つめたまま納得させられてしまった。


「……認めたくないけど、たしかにこっちかも」

「小関さんってほんと、そう簡単には受け入れないよね」

「慎重なだけですけど?」

「言い方変えただけだね」


もはや恒例みたいになった小競り合いをしてから、二人で資料へ視線を戻す。


そこから先は、さっきみたいな言い合いはなかった。

気づいたことを言って、直して、また見る。
その繰り返しだった。

印刷した資料を机いっぱいに広げる。

紙になるだけで、文字の詰まりや余白の違和感がよく分かる。


「ここ、ちょっと重たいね」

「写真少し小さくしよう」

「この見出しは残したい」

「うん、それは残そう」


お互いの言葉が短くなっていく。
それでも、不思議と伝わる。


時刻は『19:21』

気づけば小会議室スペースに残っているのは私たちだけだった。
窓の外はすっかり暗くなっていた。

向かい合って始めた打ち合わせなのに、いつから隣で資料を作るようになったのかも覚えていない。




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