ピンチの時にさっそうと現れたヒーローは、見た目以外は高スペック男子でした。

「今日はいいお天気で良かったわね。空気もすがすがしい気がするわ」
「……あぁ」
 おのれの腕の中で機嫌よく話すアメリアを、ウィズは困惑気味に見下ろした。
 気分はまさに「どうしてこうなった」である。



 簡単な朝食後、隊列を組み出発しようとした時、アメリアが馬が余っているのなら、自分も騎乗で進みたいと言い出した。

 何があるか分からないから危険だといさめようとするランバードに、アメリアが胸を張って言いのけた。

「じゃあ、ウィズといっしょでいい」

(いや、なんでだ?)
 聞くともなしに二人のやり取りを聞いていたウィズは心の中で突っ込んだ。

 ところがそれに対して、ランバードがしぶしぶとはいえ許可を出してしまったのだ。

 なぜ、大事な姫君を、どこ誰とも知れない男に預けようとするのか。
 そもそも、自分の容姿を知る少女が、狭い馬上に共にいる事を自ら望むのか。

 数々の修羅場を潜り抜けてきたと自負のあるウィズだったが、この状況が理解できずにいた。

 ところが、その困惑の沈黙を了承したと思われたのか、アメリアは馬に乗せろと無邪気に伸ばしてくる。 

 手を反射的につかんでしまったのが運の尽き。

 少女は腕の中で、無邪気に馬上からの風景を楽しんでおり、ウィズは、伝わる温もりに困惑しか出てこないというわけである。

「もう、ウィズ。ちゃんと話を聞いている?」
 上の空の返事に、アメリアが不満そうに唇を尖らせて振り返った。

 体格差がある為、それほど顔の距離が近いわけではないけれど、それゆえに振り返れば下から覗き込むようになる。そのため深くかぶったフードもあまり意味がなく、ウィズはまっすぐに自分を見上げるアメリアの青色の瞳と見つめあう事になった。

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