『胡蝶の夢』に囚われて ― 夢か現か幻か ―
35 ◇顔に出るタイプ
私が美冬のことをあれこれ考えて答えを出したところで、前を向いて飲み物に口をつけた時、
私の前に座ってる本田くんが苦笑しているのが見えた。
『何?』
私は声を出さずに尋ねた。
すると、彼は私の方へ前のめりになりこそっと話してくれた。
「あのさ、山倉さんって顔に出るタイプなんだね」
「顔にって……?」
「初音さんのこといろいろ心配してたっていうか、そうだなぁ、表情から察するところ──
えっどういうこと? 私は伊藤くんと上手くいくようになんていうキューピット役はできない
からね、とか、考えてなかった?」
私は本田くんの言葉に絶句するしかなかった。
「な、なんでそんなことがわかるの? 私が考えてたっていうけど」
「いやぁ~、だって山倉さん、初音さんのことを見て、次に伊藤を見てまた初音さんを
ジトって見て、2人が会話してるのをそのあとじーっと意味深げに見てただろ?
ふたりのことなんて全然知らないみたいで、驚いて興味津々に見てるし。
大体、山倉さんってさ、社内の色事に興味ない人だから仕方ないのかもしれないけど」
「確かに──まぁそうかも」
前にチラっと美冬から伊藤くんのことを聞いたことはあった。
だけど、ただの片思いなのかなとか、口でいいって言ってるけど具体的に
付き合うとかっていう感じでもないのかな、とか思ったりして、そこ止まりだった。
結局私は賢人とラブラブなら、人の恋路なんてどうでもよかったのだ。
「人の恋愛に口出しするのは、性に合わないっていうか……」
「その通りだよ。それでいいと思うよ。恋愛なんて自分でどうにかするしか
ないんだからさ」
『おっ、本田くんわかってらっしゃる』
「うん」
「でさ、何気についでみたいに山倉さんに訊いてみたいことがあるんだけど」
「……?」
私が美冬のことをあれこれ考えて答えを出したところで、前を向いて飲み物に口をつけた時、
私の前に座ってる本田くんが苦笑しているのが見えた。
『何?』
私は声を出さずに尋ねた。
すると、彼は私の方へ前のめりになりこそっと話してくれた。
「あのさ、山倉さんって顔に出るタイプなんだね」
「顔にって……?」
「初音さんのこといろいろ心配してたっていうか、そうだなぁ、表情から察するところ──
えっどういうこと? 私は伊藤くんと上手くいくようになんていうキューピット役はできない
からね、とか、考えてなかった?」
私は本田くんの言葉に絶句するしかなかった。
「な、なんでそんなことがわかるの? 私が考えてたっていうけど」
「いやぁ~、だって山倉さん、初音さんのことを見て、次に伊藤を見てまた初音さんを
ジトって見て、2人が会話してるのをそのあとじーっと意味深げに見てただろ?
ふたりのことなんて全然知らないみたいで、驚いて興味津々に見てるし。
大体、山倉さんってさ、社内の色事に興味ない人だから仕方ないのかもしれないけど」
「確かに──まぁそうかも」
前にチラっと美冬から伊藤くんのことを聞いたことはあった。
だけど、ただの片思いなのかなとか、口でいいって言ってるけど具体的に
付き合うとかっていう感じでもないのかな、とか思ったりして、そこ止まりだった。
結局私は賢人とラブラブなら、人の恋路なんてどうでもよかったのだ。
「人の恋愛に口出しするのは、性に合わないっていうか……」
「その通りだよ。それでいいと思うよ。恋愛なんて自分でどうにかするしか
ないんだからさ」
『おっ、本田くんわかってらっしゃる』
「うん」
「でさ、何気についでみたいに山倉さんに訊いてみたいことがあるんだけど」
「……?」