『胡蝶の夢』に囚われて ― 夢か現か幻か ―
42 ◇衝撃
意に反することをされ、余りの衝撃に──
身繕いしたあとは、肉体的にも精神的にも里穂はその場から動くことができないでいた。
非情な男は、里穂が動けないことをわかっているはずなのに、ベッドへと移動させて
くれることさえせず、さっさと自分だけベッドに潜り込み心地良い世界へと、遁走した
のである。
知らぬ間にうつらうつらしていたようで、気がつくとベッドはもぬけの殻になっていた。
そして、ようやく里穂は躰が元のように動けるようになったことに気付く。
そこで、里穂は簡単にシャワーを浴びたあと、急ぎ洋服に着替えホテルを後にした。
フロントで聞いたところ、男は一足先にチェックアウトしていた。
他の男女カップルのことも聞きたかったけれど、うまく訊けそうもなかったこともあり、
そのままホテルのロビーを通り抜けた。
帰りの電車の中で悔しくて涙が出た。
『それにしても、あの男女のカップルはどうなったのだろう? 何故あの部屋からいなくなり
そして、泊まらなかったのだろう』
あの男とグルだったのか?
いろいろとわからないことだらけで気が変になりそうだったが、確かなことが1つだけあった。
『自分の躰をあの男に弄ばれた』──ということ。
気持ちがグチャグチャになったけれど、思いついたのはたった1つのことだった。
誰かに自分の身に起きたことを話ししたい、聞いてもらいたいということ。
それだけを強く願い、それを頼りに里穂は自宅を目指した。
それこそ、這う這うの体で自宅に辿り着く。
里穂の自宅は駅から徒歩15分。
大規模なマンションと比べると見た目コンパクトな24戸数ある4階建てハイツの
2階角部屋だった。
選択ものを干すベランダ側が南になるよう建てられている。
部屋に入るなり、ベランダ側壁沿いに配置してあるベッドに向かう。
そして、身体を横たえた。
どうして自分はこんなことになっているのか──
考えても考えても思考が追い付かず頭も身体も疲れ切っているのがわかる。
ただ漠然とではあるが、この時里穂の中ではあの男を罰してやりたいという
気持ちが強く育っていた。
レイプしながら『これは合意だから。お金が欲しくなったら──いつでも呼べば
また相手してやるよ』そう言い放った男が憎かった。
男の言葉を思い出すと悔しさが込み上げてきて、里穂は地団太を踏むような気持ちで、
手をグーにして目の前の枕を叩き続けた。
そして次に訪れたのは静寂と、頬を流れる悔し涙。
『あの男を警察に突き出してやる』
そう決心すると里穂は長きに亘り良好な付き合いを続けている恋人の本田に
電話を掛けたのだった。
意に反することをされ、余りの衝撃に──
身繕いしたあとは、肉体的にも精神的にも里穂はその場から動くことができないでいた。
非情な男は、里穂が動けないことをわかっているはずなのに、ベッドへと移動させて
くれることさえせず、さっさと自分だけベッドに潜り込み心地良い世界へと、遁走した
のである。
知らぬ間にうつらうつらしていたようで、気がつくとベッドはもぬけの殻になっていた。
そして、ようやく里穂は躰が元のように動けるようになったことに気付く。
そこで、里穂は簡単にシャワーを浴びたあと、急ぎ洋服に着替えホテルを後にした。
フロントで聞いたところ、男は一足先にチェックアウトしていた。
他の男女カップルのことも聞きたかったけれど、うまく訊けそうもなかったこともあり、
そのままホテルのロビーを通り抜けた。
帰りの電車の中で悔しくて涙が出た。
『それにしても、あの男女のカップルはどうなったのだろう? 何故あの部屋からいなくなり
そして、泊まらなかったのだろう』
あの男とグルだったのか?
いろいろとわからないことだらけで気が変になりそうだったが、確かなことが1つだけあった。
『自分の躰をあの男に弄ばれた』──ということ。
気持ちがグチャグチャになったけれど、思いついたのはたった1つのことだった。
誰かに自分の身に起きたことを話ししたい、聞いてもらいたいということ。
それだけを強く願い、それを頼りに里穂は自宅を目指した。
それこそ、這う這うの体で自宅に辿り着く。
里穂の自宅は駅から徒歩15分。
大規模なマンションと比べると見た目コンパクトな24戸数ある4階建てハイツの
2階角部屋だった。
選択ものを干すベランダ側が南になるよう建てられている。
部屋に入るなり、ベランダ側壁沿いに配置してあるベッドに向かう。
そして、身体を横たえた。
どうして自分はこんなことになっているのか──
考えても考えても思考が追い付かず頭も身体も疲れ切っているのがわかる。
ただ漠然とではあるが、この時里穂の中ではあの男を罰してやりたいという
気持ちが強く育っていた。
レイプしながら『これは合意だから。お金が欲しくなったら──いつでも呼べば
また相手してやるよ』そう言い放った男が憎かった。
男の言葉を思い出すと悔しさが込み上げてきて、里穂は地団太を踏むような気持ちで、
手をグーにして目の前の枕を叩き続けた。
そして次に訪れたのは静寂と、頬を流れる悔し涙。
『あの男を警察に突き出してやる』
そう決心すると里穂は長きに亘り良好な付き合いを続けている恋人の本田に
電話を掛けたのだった。