『胡蝶の夢』に囚われて ― 夢か現か幻か ―
43 ◇駆けつけてくれた恋人

 達也は話を聞いたあと、すぐに駆け付けてくれたようで50分ほどして
インターホンが鳴った。


 話の内容が内容だけに、呆れられて来てくれないかもしれない──ということも
チラっと頭に浮かばなかったわけでもなかった。

 だから、彼の顔を見て私はほっとした。

 家に入るとすぐに彼の口から出た言葉は……。

── どうしてそんなことに……?
Tiktok? オフ会?
なんでまた?
何人くらいで行ったの? ──



 何もわからないからか疑問符ばかりで困惑していたけれど、私を責める言葉は
出てこなかった。

 そして、私が警察へ一緒に付いて行ってほしいとお願いして、一緒に
最寄りの派出所へ行くことになった。

 結局、こういった事件の取り扱いは警察署で処理されるということで
このあと、私たちは警察署へ出向いた。

 カウンターで、口にしずらいレイプという単語を話す時にはとても緊張した。

 本当はこんなこと達也に聞かせるようなことじゃないけど、でも一緒に側に
いてくれて勇気づけられた。

 窓口で私の話を聞いた婦人警官が、個室で話を聞かせてもらいますからと言って
奥に引っ込み、彼女が話し掛けたもう1人の女性が署内の中から出て来て私たちを
別途個室に案内してくれた。



 そして彼女は私たちに「おかけください」と言い、彼女は机を挟み私たちの
前の椅子に腰かけ──

「話ずらいお話のようですが──
それでは詳しいお話を聞かせてくださいね」
と私に向けて告げた。

 私の聴き取りは婦人警官がついてくれた。

 やさしい雰囲気の女性が担当についてくれたため、ようやくこの頃に私の緊張が
解(ほぐ)れてきた。

 婦人警官が訊いてくれた。

「彼も一緒でいいですか?
それとも大丈夫そうだったら、おひとりでの面談にしますか?」

 相談の内容が内容だけに、気を遣ってくれたのだと思う。
 私自身がわからないことだらけの中での面談になる。
 それに達也には4人で行ったといわず、つい6人と話をしてしまった。

 一緒にいるとどこかで私の嘘がバレてしまうかもしれない。
 そして、いろいろと軽率な行動をしていたこともバレてしまうかもしれない。

 事実を知ったら達也に軽蔑されるかもしれない。

「1人で大丈夫です」

「じゃあ、そういうことですので付き添いの方は部屋の外でお待ちください」

 それを聞いて部屋から出て行きかけた達也に──

「待たせるの申し訳ないから私の部屋で待ってて」そう提案した。



「だけど、駅まで遠くて帰りの足がないと困るだろ?」

「大丈夫、ミニバスが近くから出てるから」

「そっか。じゃあ、わかった。部屋で待ってる」



 優し気に耳を傾けてくれる婦人警官に、経緯を説明したけれど、結局一緒に行った
男女のカップルにまず話を聞いてみないことには──

ということになり、一緒に行った他のメンバーと連絡を取るように指示される。


 担当官から出されたミッション──ひとまずはここからだった。


 TikTokを介して知り合ったという経緯、どうしてオフ会をすることになったのかという
理由など、話せる手持ちのカードがほぼ無かった割には以外にも
面談には時間が掛かった。

 やはり達也には帰ってもらって正解だった。
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