『胡蝶の夢』に囚われて ― 夢か現か幻か ―
45 ◇大きく膨らむ疑念



 俺は、パソコンを繋いでTikTokを表示させているテレビを、しばらく巻き戻し
たり早送りしたりして、ざっと過去に遡りTikTokの映像をチェックしていった。

 動画の内容は歌と踊りと雑談。

 見ていくうちに──
徐々に派手な服装になり、チラ見せ風な踊りも追加されていく様子が垣間見えた。

 胸元の大きく開いた悩殺スタイルで歌い踊り、しゃべっている──里穂。

 目の前で歌っている彼女は、夜の街に溶け込んでいくのに超絶お似合いな
金色の装飾付きの、胸元の谷間が見えそうな洋服を纏っている。

 髪型も自分の知っているものではなかった。


 流れが見えてくる。

 初期は普通の洋服で撮影していて、再生回数も少なく、露出ファッション化した
あとから異様に再生回数が増えている。

 贈られるギフトが明らかにエロい服装になった頃から増えている。
 多い日は数人から高額ギフトが贈られている。
 一度の投稿分で10万円超えのものもある。

 結婚資金のためにTikTokを始めたのだと告白されていたけれど、まさか色仕掛け
で男のファンを釣る手法だったとは……。



 なんか、嫌な汗が出て来る。

 彼女が副業に、こんなことをしていたなんて。

 これで、ファンにせがまれて一泊のオフ会に行った理由もなんとなく見えてきた。

 それにしても──
里穂は自分がそういう性の対象として見られていることに気が付いてなかったのか?

 子供じゃあるまいし、全く気がつかないわけがない。

 きっとおそらくは、欲得勘定に突き動かされて深く考えもせず、もてなさないと
ファン(客)が減る=収益が減少してしまう──

と考えたんだろうな。

『参ったな~』

 こうなると、ホントに泊りは6人だったのだろうか? という疑念が、
芽生えるというもの。

 何だか、俺は彼女からの話(報告)を信じられなくなってきた。

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