離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 こうして顔を合わせるのは、いつ以来のことだろうか。互いに地域との結びつきが強い家柄だから、高校を卒業したあとも真裕との接点はときどきあった。だが、例えばパーティーなどでたまたま同じ場に居合わせても、知らんぷりされるか、ものすごく気が進まないと言いたげな表情で渋々相手をしてくれるかのどちらかだ。どうして真裕が自分に冷たく当たるのか、その理由を遥は知らない。それでも、彼の態度は常に一貫していた。

 真裕は遥と同様、静かに食事を進めている。その瞳は手元の料理だけに向けられていて、見合いの席だというのに互いの視線が絡むことすらない。

 だから、やはり真裕はこの政略結婚をきわめて冷めた気持ちで受け止めているのだろう、と遥は想像した。

 ――私とは違って。

 しかし、だからこそ、この縁談を機に二人の関係になにか変化がありはしないだろうか……と期待してしまったのもいたしかたないことだった。

 ――まだ諦めるのは早い。

 これからは真裕と過ごす時間が格段に増えるだろうし、家庭を築くとなれば、真裕だって少しは打ち解けようとしてくれるだろう。
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