離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 しかし、遥のそんな受動的な態度をもどかしく思ったのか、真裕の眉がわずかに歪んだ。

「そうだ。俺たちにこの結婚を覆せるだけの力はない。だが、それと感情は別だ。親の指図で結婚を決めてしまうことに抵抗を感じないわけじゃないだろう?」
「……つまり、なにを言いたいのでしょうか」

 遥が静かな声音で問い返すと、真裕は少し目を伏せたあと、意を決したように再び視線を上げた。

「結婚は避けられないとしても、そのあとのことまで親たちに強制される必要はないと、俺は考えている」
「そのあとのこと……?」
「ああ。結婚して、一緒に生活をして、そうすればいろいろあるはずだろう。恋愛結婚した夫婦でも破局することは往々にしてある。つまり――」

 真裕の言葉は穏やかだったが、その奥に秘められた覚悟が透けて見えた。

「三年だ。最初から期限を決めておいて、三年後には離婚する。そういう条件を、お互い納得したうえで、この結婚に臨むのはどうだろう?」

 遥は衝撃のあまり返事ができなかった。要するに、彼はこの結婚を受け入れていないのだ、ということが理解できてしまったからだ。

 ――冷めた気持ち、どころじゃない。
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