離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 そう語る彼の顔からは、家からなにを言われようと成し遂げようという決意が窺えた。

「そっちは? 俺と離婚すると、なにか困ることがあるのか?」

 真っ直ぐに問われて、遥は黙り込んだ。

 真裕が病院を継がないのなら、父はむしろ進んで離婚させようとするだろう。父の命令はあくまでも院長の妻になることだから、跡継ぎではない真裕に用はない。

 だが、遥個人としては、困る。せっかく真裕と結ばれた縁を切るなんてことは、できればしたくない。

 けれどここで離婚したくないと言って理由を尋ねられたら、どう答えればいいのだろう。あなたとずっと夫婦でいることを望んでいるのだと、そんな好意を伝えるにも等しい言葉を、こんな話の流れで言えるだろうか。

 ――そんなの、無理……

 迷惑そうに眉をひそめられる図が容易く思い浮かぶ。長年温めてきた想いにそんな反応を返されたら、しばらく立ち直れそうにない。
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