離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 ――真裕さんのあの反応は、いったいなんだったのだろう……

 夜になって新居に到着しても、遥の頭からはその疑問が離れなかった。

 当の真裕はといえば、式が終わるなりあっさりいつもの調子に戻っていて、遥は夢でも見たのかという心持ちになる。けれど、見間違いなどではないはずだ。

 あの瞳や表情、丁寧な仕草は、嫌いな女にキスしなくてはならなくて不快、という感じではなかった。むしろ、気遣いや真心、かすかな好意さえ垣間見えるような振る舞いだった。

 ――好意。そんなことが、ありうるかしら……

 冷たく突き放される日々を長らく過ごしてきたので、にわかには信じがたい。けれど、彼が本当は思いやりに溢れた人であることはよく知っていて、だからこそ真裕の反応をどう解釈していいか分からなくなる。もしかしたら、遥がキスに緊張していることを察して、優しくしてくれただけかもしれない。

 そんなことをぐるぐると考えていたせいもあり、入浴を済ませて夫婦の寝室に入る頃には、遥は居ても立ってもいられない心持ちになっていた。
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