離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 自身のベッドに潜り込みながら、チラと隣のベッドを窺い見る。妻と交代で風呂場に向かった真裕の姿は当然ながらまだそこにはない。そんな無人のベッドを見つめつつ、これからそこで起こるかもしれない行為につい思いを馳せてしまう。

 ――私ったら、なにを想像してるの。

 そう自分を叱咤して、不埒な期待とも懸念とも言いがたい思考を努めて頭から締め出そうとする。

 真裕は常に理性的であるし、自分たちは契約結婚なのだから、普通の夫婦のような営みは当然ない……はずだ。そう思うのに、ベッドの中の身体がカチコチに緊張してしまうのは、キスのあとに真裕が一瞬覗かせた面映ゆそうな面持ちを思い出してしまうからだろうか。

 ――大丈夫だから。落ち着いて。

 そう自身に言い聞かせて、深呼吸をしようとした、まさにその瞬間。

 ガチャッ。

「――ひゃ!?」

 ドアが高らかな音をたてて開き、自分のものとは思えない裏返った悲鳴が喉から響いた。同時に、大袈裟なくらいに身体をビクつかせてしまう。
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