離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 咄嗟に己の口を両手で押さえたものの、その一連の声と動きは真裕にしっかりと確認されていたらしい。彼はドアノブを握ったままその場に立ち尽くし、瞳をまん丸にしていた。

 その様子を視界のすみで捉えた遥は、思わず上掛けを頭から引っ被ってしまう。

 あまりの恥ずかしさに、涙が出そうだった。これでは真裕を意識しすぎていることが丸わかりだ。今夜は一応結婚初夜なのに、こんな失態を演じてしまうなんて。

 互いが無言のまま、どれほどの時間が過ぎた頃だろう。

「ふ……っ、くくく」

 突如そんな笑い声が聞こえてきて、遥は上がけの中で目を見張った。

 思わず上体を起こし、声がしたほうを凝視すると、身体を小刻みに震わせている真裕の姿があった。その少し俯かせた顔に浮かぶのは――屈託のない笑みだ。遠い昔に彼が見せてくれなくなったはずの。

 遥が衝撃のあまりベッドの上で固まっていると、真裕は待ったとでも言うように右の手のひらをこちらに向けた。

「悪い、漫画みたいな反応だったから、つい……っ、くく」
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