離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
そうして二年九ヶ月の間、二人はうまくやってきたと思う。
表向きは夫婦として。そして二人だけの場所では、男女の仲には至らないながらも友人でもない、しかし他人というほど冷たくもない、微妙な関係で。
真裕は結婚初夜に口にしたことを誠実に守ってくれて、以前のような冷たいもの言いをすることはいっさいなくなっていた。それどころか、遅く帰った夜に遥が起きていれば、「もう寝ろ」と言いながら白湯を手渡してくれたし、休日には一緒に買い物に出て、重い袋を当然のように持ってくれた。風邪を引けば、アイス枕と薬が差し出され、眠っている間に洗濯物が干されていた。
甘い台詞はない。けれど、ことあるごとに遥を労り、尽くしてくれた。それは契約結婚だということを理解している遥でさえときどき勘違いしてしまいそうなほどに。
いや、実際勘違いしていたのだろう。
だからこそ、予定どおりに離婚届を突きつけられてこんなにもショックを受けてしまっている――