離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 そう、二人は契約結婚で、恋愛結婚ではない。そして三年で離婚することは、婚約したときから決まっていた。その取り決めを、遥の一方的な感情で今さらなかったことにしていいわけがない。
 しかし、そう口にする真裕の声音に、自分自身にも言い聞かせるような響きが混じっているように思うのは気のせいだろうか。

 ――本当は、真裕さんも離婚を迷っているのでは……?

「真裕さ――」
「今は時間がないから、また今度話そう。とりあえず離婚届(それ)はお前が持っていてくれ」

 呼びかけようとした遥の声に被せるようにして真裕はそう言うと、コートを羽織った。

「行ってくる」
「あ……行ってらっしゃい……」

 玄関まで見送りに出た遥はじっと夫の背中を見つめたが、彼は感情の読めない眼差しでこちらを一瞥しただけで、家をあとにしてしまった。
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