離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 ――少なくともこの食事会で、冬月家の人たちが真裕さんをどう扱っているかは分かるはず。

 それからしばらく車は道なりに進み、坂が途絶えた先で速度を落とした。大きな門が視界を塞ぐように迫っている。その向こうにかすかに覗くのは、重厚な瓦屋根と白壁を備えた邸宅だ。

 車が冬月家の敷地に入る直前、真裕がこちらを見ずに言った。

「なにを言われても無難に笑ってろ。そうすれば俺が適当に受け答える」

 ――なにを言われてもって?

 尋ねている暇はなかった。門をくぐると、手入れの行き届いた庭木が目に入り、車寄せにはすでに佳代子が立っていたからだ。車を停車させると、待ちわびたように駆け寄ってくる。

「遥さん。ようやく来てくれたのね」

 そう言って目尻のシワをにこやかに深める。
 車から降り、コートを脱いだ遥は深く腰を折った。

「たいへんご無沙汰してしまい申し訳ありません。本日はお招きくださりありがとうございます」

 佳代子は笑って遥の頭を上げさせた。

「いいのよ、そんなこと。それより寒かったでしょう。早く中に入って」
「はい」
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