離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 周囲の景色に目を向けると、手入れされた植木や花壇はたいへん美しく、食事会でざわついていた遥の心は少しだけ穏やかになる。

 一番奥までやってきたところで、二人は足を止めた。

「あの……聞いてもかまいませんか。先ほどの食事会のこと」
「……ああ」

 数歩先にいた真裕が短い返事とともに振り返る。その態度は落ち着いていて、こちらがそう言い出すのを待っていたかのようだった。だから、彼は妻の疑問に答えるためにここに来たのかもしれない、と遥は思った。

 食事会でのやりとりを振り返りながら、遥は慎重に口を開く。

「お義母様が言っていた手続き、というのは、補助金や認可の話……ですよね。冬月家はそんなにも父の力を必要としているんですか」

 病院はコミュニティを支える重要な柱である分、政治との関わりが大きい。その運営には多くの制度が絡んでくる。

 それは遥も承知しているし、自分たちの政略結婚の背後に両家の協力関係があることは理解していた。けれど、冬月家の人々があれほど露骨に父におもねったことに遥は辟易としていた。

 妻に尋ねられ、真裕がわずかに顎を引く。
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