離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 本来受け取るべきでない金品を受給しているわけではないから犯罪ではない。その論理は分かるが、政治家とのツテがあるからこそ使える手法は、不公平感が否めない。

 政治家の娘でありながら、青臭すぎる問いだとは自分でも分かっていた。

「……そう感じるのは普通だ。俺だって気持ちのいい話じゃない」

 真裕にそう告げられて、遥はかすかに安堵のようなものを覚える。

 ――私の感じていた嫌悪感は間違いじゃない……

 なのに、先ほどの食卓では「お世話になっている」という発言にみなが同意している空気だった。
 冬月家はそれを当然のように享受している。

「――だからいやなんだ」

 まるでこちらの思考を読んだかのようなひと言に、遥は心臓を掴まれるような心地がした。真裕がこんなふうに感情をあらわにするのはめずらしい。

 彼はとても暗澹とした目で庭を――その先に建つ冬月家の邸宅をにらみつけていた。

「俺は、ただの医者でいたい。……政治の話に飲み込まれるのなんてまっぴらだ」

 そう言って、身体の横で強く拳を握りしめる。
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