離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
――なのにまさか、真裕さんとの結婚を命じられるなんて。てっきり見も知らぬ相手と事務的な婚姻を結ぶことになると思っていたのに。
乱れた足取りのまま廊下の角に差しかかったところで、前方にさっと大きな影が差す。驚いて踏みとどまったものの上体の勢いは殺しきれず、遥は角を曲がって現れた人物の胸に飛び込んでしまう。
「おっと」
短く声を上げて遥の身体を受け止めたのは、従兄の的場理人だ。いずれ誠志郎の跡を継ぐことが内定している彼は、現在秘書をしており、同じ屋敷で暮らしている。理人とは跡取りの座を争った間柄だが、遥がもともと政治家になりたいとは思っていなかったこともあり、仲は良好だ。それどころか、実母が不在の清白家で冷遇されることの多かった遥を理人はなにかと庇ってくれたため、この家では唯一信頼できる相手となっていた。
「ごめんなさい、理人」
素早く身を引いて謝罪した遥に、理人は軽く笑って首を傾げる。
「めずらしいな、そんなに慌てて。なにかあったのか?」
「それが……」
乱れた足取りのまま廊下の角に差しかかったところで、前方にさっと大きな影が差す。驚いて踏みとどまったものの上体の勢いは殺しきれず、遥は角を曲がって現れた人物の胸に飛び込んでしまう。
「おっと」
短く声を上げて遥の身体を受け止めたのは、従兄の的場理人だ。いずれ誠志郎の跡を継ぐことが内定している彼は、現在秘書をしており、同じ屋敷で暮らしている。理人とは跡取りの座を争った間柄だが、遥がもともと政治家になりたいとは思っていなかったこともあり、仲は良好だ。それどころか、実母が不在の清白家で冷遇されることの多かった遥を理人はなにかと庇ってくれたため、この家では唯一信頼できる相手となっていた。
「ごめんなさい、理人」
素早く身を引いて謝罪した遥に、理人は軽く笑って首を傾げる。
「めずらしいな、そんなに慌てて。なにかあったのか?」
「それが……」