離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
自分だけでなく、理人も清白家で苦労してきた当事者だ。
遥が清白家に来たことで、それまで誠志郎の第一の跡取り候補であった理人の立場は脅かされた。理人の母、すなわち誠志郎の姉は、遥への敵意を隠さず、清白家の空気は常に冷たかった。
遥も理人も、跡取りの座を巡って競争させられる状況にうんざりしており、それがかえって互いの絆を育んだのだと思う。理人のおかげで、遥は窮屈な清白家で息ができたといっても過言ではない。
「……だからね」
遥は息を吸って意識的に明るく笑った。今度は失敗しないように。
「理人が、あの家じゃない新しい家族を得られるの、すごく嬉しい。心からおめでとうって思ってる」
「……ああ」
「せっかくのお祝いごとなのに、しんみりしちゃってごめん」
「それはいいけどさ」
理人はさらりとした口調で流しつつも、日本酒の入ったグラスを揺らしながら窺うような目で遥を見つめる。
明るい空気に戻したつもりの遥は、笑顔が強張るのを感じた。
なぜそんな目で見るのか尋ねようとしたが、その言葉は声になる前に喉で消える。
「真裕と……なんかあったのか」
遥が清白家に来たことで、それまで誠志郎の第一の跡取り候補であった理人の立場は脅かされた。理人の母、すなわち誠志郎の姉は、遥への敵意を隠さず、清白家の空気は常に冷たかった。
遥も理人も、跡取りの座を巡って競争させられる状況にうんざりしており、それがかえって互いの絆を育んだのだと思う。理人のおかげで、遥は窮屈な清白家で息ができたといっても過言ではない。
「……だからね」
遥は息を吸って意識的に明るく笑った。今度は失敗しないように。
「理人が、あの家じゃない新しい家族を得られるの、すごく嬉しい。心からおめでとうって思ってる」
「……ああ」
「せっかくのお祝いごとなのに、しんみりしちゃってごめん」
「それはいいけどさ」
理人はさらりとした口調で流しつつも、日本酒の入ったグラスを揺らしながら窺うような目で遥を見つめる。
明るい空気に戻したつもりの遥は、笑顔が強張るのを感じた。
なぜそんな目で見るのか尋ねようとしたが、その言葉は声になる前に喉で消える。
「真裕と……なんかあったのか」