離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
「遥。時間、ないんだろ」
その言葉に、空気が変わるようななにかを感じて遥は理人を見た。
「手段を選んでる場合じゃない。――既成事実を作れ」
理人の怖いほど真剣な眼差しが真っ直ぐに見返してくる。
遥は金縛りにあったかのような数秒ののちにようやく口を開いた。
「な、なに言って……? 子供を作れって、言ってるの……?」
「身体の関係だけだよ。子供まではいい。……でも、関係ができたら、真裕は簡単に離婚しづらくなるはずだ」
「でも……私たちは契約結婚で……」
反論の言葉が中途半端に立ち消えてしまったのは、真裕との間で、身体の関係をどうするかなどという話は一度も出たことがないからだ。
けれど少なくともこの二年九ヶ月、二人の間にはなにもなかったし、残りの三ヶ月もなにかが起こりそうな気配はない。だから、それが二人の契約結婚の在り方で、暗黙のルールはできているように思う。
けれど理人はここぞとばかりに首を横に振る。
「契約だからこそだ。契約ってのは、前提になる状況が変われば崩れる。心が動けば、もっと崩れる」
理人の言葉は冷たく、現実的だった。
その言葉に、空気が変わるようななにかを感じて遥は理人を見た。
「手段を選んでる場合じゃない。――既成事実を作れ」
理人の怖いほど真剣な眼差しが真っ直ぐに見返してくる。
遥は金縛りにあったかのような数秒ののちにようやく口を開いた。
「な、なに言って……? 子供を作れって、言ってるの……?」
「身体の関係だけだよ。子供まではいい。……でも、関係ができたら、真裕は簡単に離婚しづらくなるはずだ」
「でも……私たちは契約結婚で……」
反論の言葉が中途半端に立ち消えてしまったのは、真裕との間で、身体の関係をどうするかなどという話は一度も出たことがないからだ。
けれど少なくともこの二年九ヶ月、二人の間にはなにもなかったし、残りの三ヶ月もなにかが起こりそうな気配はない。だから、それが二人の契約結婚の在り方で、暗黙のルールはできているように思う。
けれど理人はここぞとばかりに首を横に振る。
「契約だからこそだ。契約ってのは、前提になる状況が変われば崩れる。心が動けば、もっと崩れる」
理人の言葉は冷たく、現実的だった。