離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 持ってきていたスマホも人混みの中ではつながりにくく、友人に連絡しようと試みているうちに電池の充電が切れてしまう。

 さらにはにわか雨まで降ってきて、傘を持っていなかった遥はずぶ濡れになってしまった。

「今日、厄日かなにかなのかな……」

 雨がやんだあと、出店と出店の間になんとか座れる場所を見つけた遥は、しゃがみ込んで空を見上げていた。夕暮れどきを過ぎた空は、先ほどの雨など忘れてしまったかのように雲はまばらで、花火を打ち上げるのに適した闇色に染まりつつあった。

 ――本当なら今頃、みんなと笑い合って花火の始まりを待ってるはずだったのに……

 惨めな気持ちでため息をついたとき、どこかから自分の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。

「――るか! 遥……!」
「え……?」

 遥の名前を呼び捨てにする相手は少ない。はじめは別の人が呼ばれているのかと思った。それでも、もしかして……という思いから人波の中に懸命に目を凝らすと、果たして人と人をかき分けて姿を現したのは、よく見知った人物だった。

「真裕く……冬月、先輩……」
「こんなところにいた……っ」
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