離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
「だったら、俺のスマホを貸すから、家の人に連絡して迎えに来てもらえ。これじゃ花火どころじゃないし、一人で帰れないだろ」
「家の人……」

 真裕としては何気ない指示だったのだろうが、遥は躊躇した。

「どうした? 今夜は家に人がいないのか?」
「そういうわけじゃ、ないですけど……」

 遥の家、清白家の屋敷には使用人がいる。だから、電話をすれば誰かが迎えに来てくれるはずだ。

 だが、自分の都合で使用人を呼びつけたとなれば、確実に父に報告が行くだろう。

 つい先日、試験で赤点をとったばかりだ。それでまた遊びに行った祭りでこんな失態を犯せば、気持ちが浮ついていると叱責されるだろう。

「また皮肉を言われるんだろうな……」

 諦念まじりに思わずこぼれたのは、ため息のような呟きだ。それは人々のざわめきに埋もれて、真裕の耳までは届かなかったようだ。

「ん?」
「……なんでもありません。スマホ、貸してもらえますか。従兄もこの祭りに来ていることを思い出したので、従兄に来てもらいます」
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