離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 なにを尋ねられているのだろう、と考えて、遥は気づいた。真裕は勘違いをしている。

 遥はただ同衾を求めただけだが、彼はセックスを求められたと解釈したらしい。

 だが、遥は誤解を正すことなく頷いた。

「はい……かまいません」

 自分の言葉に、強い確信をいだく。

 たとえ真裕の中にある遥への思いが同情だけでもかまわない。

 ずっと好きだった。憧れていた。でも諦めていた。そんな相手が自分のことを受け入れてくれると言ってくれるなら、拒否などあろうはずかない。

 真裕の喉が小さく鳴った。

 彼の眼差しに情欲のようなものが宿るのを目にして、遥は自分の中にも熱が灯るのを感じた。

「……分かった」

 そのひと言はまるで降伏の宣言のようにも聞こえ、遥の胸に小さな疑問が浮かぶ。

 しかし、荒々しく上着を脱ぎ捨てた真裕が遥を抱き上げ、恭しい仕草でベッドに沈めてしまったので、そんなささやかな思考は霧散する。

 真裕の手が枕元に伸びる。おそらくリモコンを操作したのだろう、部屋の照明が薄暗くなった。それと同時に、掛け布団がかすかな衣擦れの音とともに滑り、二人の身体を包む。
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