離婚届を渡された契約妻ですが、罪を抱えたエリート外科医の愛が重すぎます
 遥が恥ずかしくないようにと配慮してくれたのだ。その優しさにまた胸がとくんと震える。

 暗がりの中で伸びてきた真裕の手はまず髪に触れ、頬に触れ、首筋に下りていった。

「怖くないか」
「……怖くはないです」

 嘘ではない。

 初めての行為に対する恐れはもちろんあったが、なにもかも彼に任せておけば大丈夫だという不思議な安心感があった。

 真裕の額が遥の額にそっと押し当てられる。

「嘘だけは、つかないでくれ。俺は君を泣かせたくない」

 その低い声が、胸の一番奥に染み込むように響く。

「嘘じゃ、ないです……」

 遥がそう告げると、真裕が短く息を吐き、妻の額に口づけた。それから、頬へ、瞼へ、唇へ、確かめるようにゆっくりと移動する。

 熱い舌で唇を舐められて、遥はぴくんと反応した。

「あ……っ」

 口を開いて声を漏らした拍子に舌を差し入れられて、また震える。

 指先に触れた彼のシャツを握りしめると、真裕はその手をほどき、指を絡めるようにして握り直した。その仕草に、遥の胸はこの上なく鼓動を早める。手から伝わる熱は、硬くなっていた遥の身体をゆっくりとほどいていった。
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