眠れない夜は愛しい雛を抱いて
そもそも俺は父親への報告はいらないと言ったのだが、雛子が気にしたのだ。

だから仕方なくメールで報告したが、『認めない』と一言返ってきたため、俺は即、『これは決定事項です』と返信してそれっきりだ。

このことは雛子には言ってない。
彼女が父のことで傷ついたり悩んだりする姿を見たくないから。

「はぁ……しかし、このまま式に来ないとなるとな……」

このまま結婚に踏み切るつもりではあるが、式に父親が来ないと知れば、気遣い屋で優しい雛子は式の取りやめを検討しかねない。

そんなことを考えていれば、部屋の扉の前に着く。
鍵穴を回そうとして、先に扉が開いた。

「おかえりなさい」

出迎えた雛子はすでに入浴を済ませていて、可愛らしい卵色のパジャマを着ている。

「ただいま、よくわかったな」

「うん、そろそろかなぁって、バルコニーからちょっとだけ、のぞいてたの」

「あぶないな、落ちたらどうするんだ?」

俺の帰りを待ち侘びていたのは嬉しいが、雛子の危険な行為は見逃せない。

俺は雛子をトンと壁に追いやり、片手を突いた。

いつもはこんな強引なことはしない俺だが、先程まで日本酒を堪能していたため、多少酔っているのかもしれない。

「あ、の……」

「危ないことをしたお仕置きをしないとな」

「……ンッ!」

雛子の唇を塞ぐと、そのまま角度を変えて何度もキスを繰り返す。
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