監禁された私には、時空の監視者の愛情は伝わらない
身動きが取れない私に息が触れるほど顔を近づけたバルドゥールは、私の耳をそっと舐め上げて囁いた。
「………ああ、お前は勘違いしているかもしれないから、ここではっきり言っておく。お前は元の世界には戻れない」
甘さを含んだその言葉に、私の心臓は悲鳴をあげた。もっとも憎いと思う人物から、一番聞きたくない言葉を聞かされてしまった。
現実の希望のなさに打ちのめされた私は、気付けば床に崩れるように座り込んでいた。
「お前は俺の庇護なしでは生きられない。どこにも行けない。お前が生きる場所はここだけだ」
悪魔のような言葉が頭上から降ってくる。小さく頭を振って、嫌だと拒絶の意志を伝える。
でも強く拒むことはできない。だって、私は元の世界では自ら命を絶った人間だ。戻りたくても、元の世界はきっと私を受け入れてくれない。私の居場所なんかどこにもない。
行き場所を失った私は、誰にもぶつけようのない怒りと後悔に打ちひしがれる。
胸の痛みに耐え兼ねて両手を胸に押し当てれば、バルドゥールが膝を付き私と同じ目線になる。
彼と視線を絡ませながら、声にならない声でここじゃない所に行きたいと叫ぶ。
その言葉は彼の元に届かないと思った。けれど何かを感じ取ったバルドゥールは、金色の瞳を更に鋭くした。
「ここで一生を過ごすんだ」
断罪とも思える言葉に、私は今度は拒むことはせずに項垂れと、すぐに身体がふわりと浮いた。バルドゥールが私を抱え上げたのだ。
まさか今日もと、身をこわばらせた私を無視して、彼は私をベッドに組み敷いた。
「元の世界など今すぐ忘れろ。そして、受け入れろ。俺を」
ついばむような口付けをされたと思った途端、激しい口付けをされる。バルドゥールの舌が私の唇をこじ開け、好き放題に口内を蹂躙する。
「……嫌っ」
渾身の力で顔を背けた私だったけれど、息を整える間もなくバルドゥールに顎を掴まれてしまった。
「拒むなら拒み続ければ良い。俺は気が長い。それを忘れるな」
低い声が私の耳元でそう囁いたと思った途端、再び口をこじ開けられ、硬い棒のようなものをねじ込まれる。一拍置いて、それがバルドゥールの指だと気付いた。
太い指で口の中をかき回され、悔しくて噛み付いたら、更に喉の奥に突っ込まる。容赦のないその仕打ちと、あまりの苦しさに涙が滲む。
「舌を絡ませてみろ」
耳を疑う言葉に信じられないと目を瞠る。絶対に嫌だという意思を込めて、再び指に歯を立てる。
「違う、そうじゃない。舌を絡ませろ」
そう言ってバルドゥールは少しだけ指を引き、私の舌に太い指を押し当てた。
「早くしろ。もう一度、苦しい思いをいしたいのか?」
バルドゥールの言葉は脅しではない。きっと彼は表情を変えることなく、私が命令を受け入れるまで何度だってそうするのだろう。
あんな、嘔吐くような苦しみは味わいたくない。そう思ってしまった私は既に負けを認めてしまっていた。
ぴちゃぴちゃと卑猥な濡れた音と、苦しげな私の声だけが部屋に響く。
「そうだ。だが足りない。もっと絡ませろ」
私は今、殺してやりたいくらい憎い男の指を食んでいる。
ベッドの上で膝立ちになり、自分から彼の指を舐め上げ、舌を絡ませている。屈辱的で最低なことを自分からしているのだ。
いっそこれを機に、飼いならされることを受け入れることができたらどんなに楽だろう。けれど、できない。発狂寸前の心は悲鳴を上げているけれど、理性は、まだ失っていない。
目をきつく閉じて、早く終われと念じながら機械のように、ただひたすら舐め上げる。そうすれば、バルドゥールはふっと小さく笑った。
「いい眺めだな」
屈辱で涙が滲む。間違いなく彼は膝を屈した私を見下ろしながら、嘲笑しているのだろう。
これが日常になるなんて、耐えられない。そしてこれは序章に過ぎない。きっとバルドゥールは今日以上の悍ましいことを私に求めるのだろう。
その未来を創造した瞬間、心が決まった。
今はまだバルドゥールは気付いていない。これから私が起こす行動を。どうか気付かないでいて欲しい。
私がこの世界から、決別するまでは。
「………ああ、お前は勘違いしているかもしれないから、ここではっきり言っておく。お前は元の世界には戻れない」
甘さを含んだその言葉に、私の心臓は悲鳴をあげた。もっとも憎いと思う人物から、一番聞きたくない言葉を聞かされてしまった。
現実の希望のなさに打ちのめされた私は、気付けば床に崩れるように座り込んでいた。
「お前は俺の庇護なしでは生きられない。どこにも行けない。お前が生きる場所はここだけだ」
悪魔のような言葉が頭上から降ってくる。小さく頭を振って、嫌だと拒絶の意志を伝える。
でも強く拒むことはできない。だって、私は元の世界では自ら命を絶った人間だ。戻りたくても、元の世界はきっと私を受け入れてくれない。私の居場所なんかどこにもない。
行き場所を失った私は、誰にもぶつけようのない怒りと後悔に打ちひしがれる。
胸の痛みに耐え兼ねて両手を胸に押し当てれば、バルドゥールが膝を付き私と同じ目線になる。
彼と視線を絡ませながら、声にならない声でここじゃない所に行きたいと叫ぶ。
その言葉は彼の元に届かないと思った。けれど何かを感じ取ったバルドゥールは、金色の瞳を更に鋭くした。
「ここで一生を過ごすんだ」
断罪とも思える言葉に、私は今度は拒むことはせずに項垂れと、すぐに身体がふわりと浮いた。バルドゥールが私を抱え上げたのだ。
まさか今日もと、身をこわばらせた私を無視して、彼は私をベッドに組み敷いた。
「元の世界など今すぐ忘れろ。そして、受け入れろ。俺を」
ついばむような口付けをされたと思った途端、激しい口付けをされる。バルドゥールの舌が私の唇をこじ開け、好き放題に口内を蹂躙する。
「……嫌っ」
渾身の力で顔を背けた私だったけれど、息を整える間もなくバルドゥールに顎を掴まれてしまった。
「拒むなら拒み続ければ良い。俺は気が長い。それを忘れるな」
低い声が私の耳元でそう囁いたと思った途端、再び口をこじ開けられ、硬い棒のようなものをねじ込まれる。一拍置いて、それがバルドゥールの指だと気付いた。
太い指で口の中をかき回され、悔しくて噛み付いたら、更に喉の奥に突っ込まる。容赦のないその仕打ちと、あまりの苦しさに涙が滲む。
「舌を絡ませてみろ」
耳を疑う言葉に信じられないと目を瞠る。絶対に嫌だという意思を込めて、再び指に歯を立てる。
「違う、そうじゃない。舌を絡ませろ」
そう言ってバルドゥールは少しだけ指を引き、私の舌に太い指を押し当てた。
「早くしろ。もう一度、苦しい思いをいしたいのか?」
バルドゥールの言葉は脅しではない。きっと彼は表情を変えることなく、私が命令を受け入れるまで何度だってそうするのだろう。
あんな、嘔吐くような苦しみは味わいたくない。そう思ってしまった私は既に負けを認めてしまっていた。
ぴちゃぴちゃと卑猥な濡れた音と、苦しげな私の声だけが部屋に響く。
「そうだ。だが足りない。もっと絡ませろ」
私は今、殺してやりたいくらい憎い男の指を食んでいる。
ベッドの上で膝立ちになり、自分から彼の指を舐め上げ、舌を絡ませている。屈辱的で最低なことを自分からしているのだ。
いっそこれを機に、飼いならされることを受け入れることができたらどんなに楽だろう。けれど、できない。発狂寸前の心は悲鳴を上げているけれど、理性は、まだ失っていない。
目をきつく閉じて、早く終われと念じながら機械のように、ただひたすら舐め上げる。そうすれば、バルドゥールはふっと小さく笑った。
「いい眺めだな」
屈辱で涙が滲む。間違いなく彼は膝を屈した私を見下ろしながら、嘲笑しているのだろう。
これが日常になるなんて、耐えられない。そしてこれは序章に過ぎない。きっとバルドゥールは今日以上の悍ましいことを私に求めるのだろう。
その未来を創造した瞬間、心が決まった。
今はまだバルドゥールは気付いていない。これから私が起こす行動を。どうか気付かないでいて欲しい。
私がこの世界から、決別するまでは。