隠れドS系御曹司は一目惚れで結ばれた彼女を溺愛して逃さない
 昼日中に男の人と二人きりで、もしも家族とかに見つかったりしたら……考えだすと無性に気になってしまう。そわそわと落ち着かない。

「あの、お家の人とかは……いないんですか?」

 熱い瞳で見つめられて、逃げられないと解っていても、どこかに逃げ道を探してしまう。

 羽琉矢の表情が緩んだ。

 必死に言い訳を考える結愛が健気で……

 この状況は彼にとっては幸運でも、結愛にとっては予想もしなかった不本意な出来事で、狼狽えるのも分かるし、逃げ出したいと思う気持ちもね、分からなくもないけど。

 捕まえた以上逃げられないし、逃がすつもりもない。他の誰かに奪われないように、すぐにでも自分のものにしたい。

 「残念ながら……いないよ。ここに住んでるのは僕一人だけ。通いの家政婦はいるけど、今日は休みだしね」

 残念ながらって所、やけに強調して言われたような気がする。
 気持ちを見透かされてる? ニコッと笑った少年めいた顔が勝ち誇ったように見えるのは、目の錯覚だろうか? 

 それよりも、この広い屋敷の中、たった一人? 
 そのことの方が気になった。

「一人で住んでるんですか?」

 大企業の御曹司で次期後継者の立場の人が一人暮らし? 大勢の人に囲まれて、何不自由のない贅沢で華やいだ生活をしていると思っていた。

「そうだよ」

 驚くように聞き返した結愛の髪を優しくなでる。

「どうして……?」

 不思議そうに問う結愛の頬に口づける。

 しっとりとした肌が吸い付くように気持ちがいい。
 不意打ちのキスに頬がほんのりと赤く染まって、まともにこちらを見れない結愛を見ながら、そっと微笑む。


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